インシデントを減らそう!【ヒューマンエラーの防止法】

こんにちは。看護師長のはるです。

今回は看護師の仕事で避けられない、インシデントに関するお話をします。

『ヒューマンエラー』って聞いたことがありますか?人的ミスとも言いますが、これはゼロにすることができないと言われます。

人は、どんなに気をつけていてもヒューマンエラーを起こしてしまうのです。

医療の世界でのミスは患者の健康や生命にかかわる場合もあるので、出来るだけ防止する必要があります

看護のミスを減らすために避けて通れない『ヒューマンエラー』の防止についてまとめるので、一緒の勉強しましょう。

目次

ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは人が起こしてしまう事故や不注意などのことです。

ヒューマンエラーとは、人の行為によって意図しない結果が生じること

つまり「やるべきことが決まっている」ときに、「やるべきことをしない」あるいは「やってはならないことをする」ことを言います。

「意図しない結果」というのは、事故やトラブルなどのことです。

例えば・・・
  • 薬の投与忘れ
  • 機械の操作間違い
  • うっかりミス
  • 口頭指示を聞き間違える
  • 手順を間違える
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エラーと違反は違います

わざとミスをする場合や、手を抜いてやらないこと、決まりを守らないでミスになる場合は、ヒューマンエラーではなく違反になります。

また、機械トラブルなどもヒューマンエラーではありません。

ヒューマンエラーの種類

ヒューマンエラーにはどんなものがあるか、種類分けして考えてみましょう。

記憶エラー

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知識不足、スキル不足、技量不足です

  • 覚えられない
  • 正しく続けられない
  • 思い出せない

初めて行う作業や、あまり経験のない作業で起きやすいエラーです。本人の知識やスキル、技量不足によるものです。

単純に作業を間違えてミスになってしまうものもあれば、知識不足が原因で異常に気付けなくて大きなトラブルになってしまうものもあります。

新人や2年目くらいの若いスタッフや、普段あまり経験のない処置を行う場合に起こりやすいエラーです。

認知エラー

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先入観や思い込みによる勘違いです

  • 見逃す
  • 聞き逃す
  • 見間違える
  • 聞き間違える
  • 認識を間違える

先入観や固定観念、思い込みにとらわれてしまい、無意識に決めつけてしまった結果、ヒューマンエラーが発生することがあります。

  • 提出期限が来週だと思い込んでいた
  • いつも通り薬は食後だと思っていたが、食前だった

こういうミスの場合、インシデントの分析で本人から事情を聞いても「なぜ勘違いしたのか分からない」という場合がほとんどです

判断エラー

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連絡・連携不足です

  • 今どんな状況かの認識間違い
  • 次に何をするかの判断を間違える

看護師の働き方のように、複数の人がかかわる業務で発生しやすいのが「コミュニケーションエラー」です。

これは連絡・連携不足によるエラーです。患者に関する申し送りが不十分でミスになってしまうことは、病棟で発生しやすいインシデントですよね。

また本人の知識不足や経験不足で正しい判断が下せなかったり、判断するまでのプロセスが複雑すぎる場合などもエラーとなります。 

行動エラー

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判断は正しいけど、実行するときにミスになることです

  • 方法を間違える
  • 手順を間違える

Aという作業をしようと思ったのに、間違えてBという作業をしてしまうようなミスです。

たとえば車の運転で、ブレーキとアクセルを間違ってしまうようなエラーのことですね。

パニックになったときに起こしてしまうこともあれば、毎日やっているような習慣化された行動が引き金になる場合もあります。

はる

ナースコールなのに、電話のように「はい、〇〇病棟の看護師はるです!」と答えてしまうことがあります

これ、すごく恥ずかしいんですが、皆さんも経験ありませんか?これも習慣から来る行動エラーの一つです。

ヒューマンエラーの事例

薬剤間違い医師からラシックス1A静注の指示。茶色のアンプルと思ってホリゾン1Aを手に取り、ラシックスと思い込んで静脈注射した。その後、薬剤部からラシックスが届いて収納しようとしたところで間違いに気付いた。
薬剤間違いヘパリンロックシリンジによるIVH(中心静脈栄養)ルートのフラッシュをおこなう際、引き出しの中から手前に見えた薬剤のパッケージを確認せずに、ヘパリンロックシリンジだと思い込み、キシロカイン注シリンジを取り出して注入した。二つを同じ引き出しで保管していた。
投与量間違いドパミンを5ml/時間で投与の指示だったが、シリンジポンプの設定を間違えて50ml/時間で投与を開始。1時間後にシリンジが空になったアラームで発覚した。ポンプの使用開始時はダブルチェックをすることになっていたが、ルールが形骸化していた
投与量間違いイントラファット100mlのオーダーであったが、薬剤部より250mlで払い出しされていた。看護師の投与前チェックで発覚して投与には至らなかった。
患者間違い同姓患者に対して食事を間違えて配膳し、摂取してしまった。氏名確認を怠って配膳した。
保管方法間違い薬剤部から届いた翌日分の薬剤を手順に従って処理したが、保管方法に関する注意書きを見落とし、冷所保存が必要な薬剤を常温保存してしまい、破棄となった。保管方法をの注意書きが添えられていたが、確認を怠った。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」

ヒューマンエラーの防止法

ヒューマンエラーを完全にゼロにすることはできません。しかし、出来るだけ減らす努力と、エラーをそのまま事故にさせない努力が必要です。

ヒューマンエラーを防止するために大切なのは、普段の行動と習慣の改善です。

以下の9項目について、あなた自身の行動と照らし合わせてみて、エラーを防ぐための行動がとれているかを振り返ってみましょう。

これらの行動を自分の習慣に取り入れることで、エラーを減らせる働き方に改善していきましょう!

  1. 声に出す
  2. 指をさす
  3. 色を付ける
  4. 他の人に見せる
  5. 時間を与える
  6. よく考える
  7. ポスターを貼る
  8. 場所を変える
  9. 事例を調べる

1.声に出す

言葉にして口に出すことで、音声刺激に変わるので、間違いを発見しやすくなります。

薬を投与するときの原則は6Rです。薬剤の準備の時と、与薬前に必ずチェックをしましょう。

  1. 正しい患者(Right patient)
  2. 正しい薬物(Right drug)
  3. 正しい目的(Right purpose)
  4. 正しい用量(Right dose)
  5. 正しい方法(Right route)
  6. 正しい時間(Right time)

2.指をさす

意識を焦点化させて、集中してチェックすることができます。

声を出して6Rチェックをするときには、一緒に指さしもしましょう。チェックしている物を指さして確認制度を高めます。

指さし呼称をしている「声」を周りのスタッフが聞くことや、「指先」を一緒に見ることで周囲の看護師や医師がエラーに気付いてくれる可能性が高まります
また患者さんが看護師の指さし呼称の声を聞くことで、看護師の行為に対して安心感が増します。

3.色を付ける

感覚刺激に働きかけるので、目に留まりやすくなります。似た種類のものを区別するために、色を変えるのは効果的です。

種類の違うインスリンを保管するボックスは、それぞれ色を変えて区別しやすく工夫しています。

他にも、自己管理の内服薬に「朝・昼・夕」それぞれにカラーマーカーで色を付けてお渡しします。

目立ちやすい原色で表示するのがおススメです

4.ほかの人に見せる

2人での確認、ダブルチェックです。思い込みによるエラーの防止に効果的です。

ここでも指さしと声出しを組みあわせて、二人でチェックすることでミスを発見しやすくなるでしょう。

5.時間を与える

余裕をもって作業ができれば、しっかりと確認出来てミスが減ります。

忙しい業務の中で時間に追われながらチェックをすると、集中できなかったり、作業を中断しながらになるので、エラーが発生しやすくなってしまいます。

次の業務に追われて焦っている看護師には、声をかけてあげましょう。

処置を始めるのを10分待ってあげるから、落ち着いて点滴の確認をしっかりやろう

そうすることで防げるエラーがあるはずです。

6.よく考える

じっくりと自分の記憶と照らし合わせて考えることで、エラーを防ぎます。

人の記憶力はあまりあてになりません。日ごろから流れ作業的な意識で仕事をせず、自分で考えて工夫して働くことが大切です。

7.ポスターを貼る

大きなポスターでなく、付箋紙に書いたスローガンをノートに貼るだけでも同じです。目にするたびに思い出して、自分の注意を誘発します。

ただし、貼ったままでは効果がなくなります。見慣れると注意を誘発できないのです。定期的に言葉や絵柄を変えたり、場所を変えることが必要です。

8.場所を変える

物理的な単純なエラーを防止します。

エラーが起きたとき、保管場所や作業場所を変えることで再発を予防できる場合があります。

2人分の点滴を同じトレーに準備しないなども効果的です!

その作業を行う場合の導線をよく考えて検討しましょう。

9.事例を調べる

インシデントレポートを読むことで、当事者意識を体験できます。身近な事例は「明日はわが身」という気持ちになり、記憶にも残りやすくなります。

自分をいましめるためにも定期的に時間を作って、どんなミスが起こっているのかを確認する習慣をつけることをおすすめします。

しかしヒューマンエラーを完全に防ぐことはできません
エラーが起きたとしても、事故に結び付けないことが大切です。
エラーの要因が自分にあることに気付くことと、同じ要因が他のスタッフにもあることに気付かせることで、ヒューマンエラーは対処が可能だということです。

ブラックエラーを見過ごさない

ヒューマンエラーとは別に、ブラックエラーと言われるエラーもあります。

これは「知識不足、マニュアル無視、ルール違反」が根底にあるエラーです。起こるべくして起こったエラーと言えます。

このブラックエラーも、残念ながら現場で見かけることが多いエラーです。

発生要因は、エラーを見過ごす慣習や職場環境が要因となっています。

まとめ

今回は看護師の仕事で避けられない、インシデントに関するお話をしました。

ヒューマンエラーはゼロにすることができないエラーです。そのため、エラーが起きたとしても、事故に結び付けないことが大切です

看護師の業務は、患者に実施する最終ランナーです。ヒューマンエラーを出来るだけ減らせるよう、日ごろの業務を見直して改善を繰り返していきましょう。

他にも、看護師の業務の悩みについてまとめた記事を書いています>>【看護師の悩み】仕事がつらいと思った時に読んでほしい

気になる方は見てみてください。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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